近年の広告取引は、広告主と媒体が直接広告枠を売買するのではなく、複数の媒体が1つのネットワーク下に置かれたアドネットワークや、複数のアドネットワークをまたがって取引するアドエクスチェンジ、そしてアドネットワークやアドエクスチェンジを一元管理するDSP・SSPといったプラットフォームによってオークション形式で広告枠が売買されます。
通常、ウェブサイトは広告取引を行う際に、まずアドサーバーにアクセスして広告在庫を直接販売しようとします。そして、このとき販売できなかった在庫はGoogleのアドサーバーなどを通して、「ウォーターフォール」式にオークションにかけられていきます。ウォーターフォール式でオークションが行われると、広告在庫はまず高い優先順位のつけられているアドエクスチェンジで取引が行われ、それでも売れ残った在庫が次に優先順位が高いアドエクスチェンジでオークションにかけられ……と、順番にオークションにかけられることになります。
通常、この優先順序はアドエクスチェンジの規模が大きいもの順になりますが、一方で、規模の大きなアドエクスチェンジが最高価格をたたき出すとは限りません。そして、Googleのアドエクスチェンジは規模が大きいので、多くの取引を優先的に成立させるという立場にあることが指摘されていました。
そこで、ウェブサイトの運営者が、全ての入札者に対して、同時にオークションを実施するようにしたのが「ヘッダービディング」という方法です。ヘッダービディングでは、ウェブサイトにJavaScriptを設置することで、ページ読み込みと同時に全てのSSPやアドエクスチェンジに対してオークションを実施することが可能です。ヘッダービディングは2016年頃までに大きな人気を集め、媒体側の70%が採用したといわれています。
しかし、ヘッダービディングによって競争が激しくなり、損失が大きくなることを懸念したGoogleは、提携するアドエクスチェンジをサポートするOpen Biddingを発表。これに関してGoogleはFacebookと共謀して広告市場を独占しようとしたとして、反トラスト法違反の疑いで裁判が行われています。
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