Amazonの検索結果で製品を上位に表示させる戦略を立てる前に知っておくべきこと

製品を売り出す際に人が多くアクセスするAmazonをプラットフォームとして利用することが考えられます。Amazonでの販売戦略を立てる際には、Google検索と同様にSEO対策が必要ですが、一方で「そもそもAmazonで物を売る前に知っておくべきことがある」とAdweekが指摘しています。

What Marketers Should Know Before Building an Amazon Keyword Strategy
https://www.adweek.com/performance-marketing/what-marketers-should-know-before-building-an-amazon-keyword-strategy/

◆Amazonでのキーワードの使い方

Amazonの検索エンジンはGoogleと同じく検索のためのアルゴリズムを持っています。Amazonの検索エンジンは「A9」と呼ばれ、基本的には、検索結果を表示する際に検索された単語と関連性が高いキーワードを考慮するためのものです。

一方で、AmazonはGoogleと違って「商品通販サイト」のために、そのアルゴリズムは「販売」というコンバージョンに重点を置いています。つまり、純粋に単語の関連性の高さで評価するGoogle検索とは違い、Amazonの検索は売り上げにつながる可能性が高い「販売歴が多くコンバージョン率の高い商品」が高くランク付けされます。

Amazonのアルゴリズムはキーワードをもとに検索を行いますが、Amazonはキーワードにおいて「新品」「最新」「ラストチャンス」「期間限定」といった一時的な言葉や、「驚くべき」「効果的な」「最高の」といった主観的な単語を「避けるべき言葉」としてピックアップしています。またAmazonはリスティングタイトルについて「検索用語を区点ではなくて空白で区切ること」を推奨しているほか、キーワードを250バイト以内で最適化すべきことを、ガイドラインで定めています。このようにAmazonなSEO対策が必要であることは、Google検索と同様といえます。

Amazonの推奨事項に従うと、最適化された商品タイトルは「カッティング ボード まな板 竹 木製 大きめ ハイブリッド ポリプロペン 食品グレード すべり止め付き 両面使用可能 エコフレンドリー」といったものになります。

◆キーワードだけで検索のトップに表示するのは無理
以前のAmazonは商品検索したユーザーに最も関連性が高く、最も売れている商品を最初に示していましたが、2019年にAmazonは自社ブランドを含め、自社にとって最も収益性が高いものを優先して表示していることが判明しています。

Amazonがより収益性の高い自社製品を売るために検索アルゴリズムを変更していた – GIGAZINE

by Stock Catalog

Amazonが自社ブランドの商品を他社製品より目立つ位置に表示させているという指摘 – GIGAZINE

このアルゴリズムは2020年になっても変更されておらず、例えばユーザーがAmazonで「白いスニーカー」と検索すると、最初に黒やピンクといった関連性の低い商品が表示されたあとに、ブラックフライデーなどのキャンペーンバナーが表示され、その次にスポンサー付きプライム製品リストが表示されるようになっています。

「関連性の低い商品を検索結果に優先的に表示する」というAmazonの仕様がAmazon全体にどのような影響を与えているのかははっきりしていません。Amazonはパンデミックの時期に売り上げを大きく伸ばしましたが、一方で、2018年には商品検索の54%がAmazonから開始されていたのに対し、2020年の5月にはその数が47%に減少しました。つまり、「Amazonから商品検索を始める」というユーザーの行動自体は減少傾向にあるといえます。

このような傾向は、ユーザーがブランドの直営サイトで購入する行為が増加していることを意味する可能性があるとのこと。2020年11月2日の時点で、実店舗を持つブランドのウェブサイトが前年同期比で75%も成長したというデータもあります。

Amazonは「検索用語にあなたのブランドや他のブランドを含めないでください」と出品者にアドバイスをしています。Amazonのこのような行動はブランドによる差別化を排除し、出品者に価格による競争だけ強制することで、各ブランドの個性を無に帰しAmazonブランドだけを拡大していく戦略であると、かねてより指摘されてきました。

最強の捕食者Amazonを打ち負かすのは多様性を持った「真のプラットフォーム」だという指摘 – GIGAZINE

これまでの調査結果から、Amazonでの検索用語の70%は「NIKEのスニーカー」といった特定のブランドを指定するものではなく「白いスニーカー」といった一般的な用語にもかかわらず、検索結果1ページ目のクリックの81%はブランドが確立している商品に対するものだと判明しています。このような背景からも、Amazonで商品を売り上げられるのは既にブランドが確立し、スポンサーブランド広告を利用できる企業のみになっているのが現状です。

Amazonで物を売るのではなく、自社サイトで直接販売を行う場合は、自社サイトまでの誘導を行うバナー広告や記事広告が役立ちます