驚異の返信率81%の依頼メールを書くためのルール

アイルランドで最も著名で影響力のある30人以上のCEOにインタビューの依頼メールを出し、その返信率が驚異の81.2%だったというトリニティカレッジの博士過程学生であるブライアン・ペニーさんが、メールのコンバージョン率を高めるための重要なポイントを実体験に基づき公開しています。

The Email That Landed Me Interviews With the Most Successful People in My Country | by Brian Pennie | Better Marketing | Medium
https://medium.com/better-marketing/the-email-that-landed-me-interviews-with-the-most-successful-people-in-my-country-b0a8d76bfed0

ペニーさんが30人以上のCEOに出したメールの内容は、以下のようなものでした。

件名:いちかばちかの賭け

本文: Xx Xxxxxxxx様へ

私はブライアン・ペニーといい、ダブリンにあるトリニティカレッジでマインドフルネスの神経科学を研究する博士課程学生です。私の旅は一般的なものとはかけ離れています。2013年10月8日、私は15年にわたる慢性的なヘロイン中毒を初めて離脱しました。なぜそうなったのかという理由や、どうしてできたのかという方法はわかりませんが、その日、私は完全に新しい人生の視点を手に入れたのです。

過去4年間にわたって、私は私の新しい人生を導き、援助してくれる素晴らしい人々と出会う幸運にめぐまれました。この出来事が、私を助成金でトリニティカレッジの博士課程学生にしてくれ、また学術ライターとして出版したり、アイルランド国立大学ダブリン校で講師を務めたり、自己啓発コーチやメンタルヘルスの講演者として話す機会をくれました。

ばかなほどに熱狂的で情熱的な学習者として、私はアイルランドで最も成功している人々に手を伸ばす賭けに出ることを決めました。私はこれまでに多くのことを学びましたが、アイルランドで最高の位置にいる人々から、さらなる情報を集めたいと考えています。私の目標はスキルやテクニックを学び、個人的な成長を拡大させ、講演を通して次世代にそれを渡すことです。

あなたの洞察や、この複雑な世界でどのように成功したのかという知見を共有するお時間をいただけると幸いです。

敬具

ブライアン

ペニーさんによると、このメールの返信率は81.2%で、最終的に返信者全員にインタビューすることが可能だったとのこと。その後、ペニーさんは同様のテクニックを使って音楽・スポーツ・エンターテイメント産業の人々に対し次々とインタビューを取り付けていきました。また、インタビューしたCEOのアドバイスに従って、インタビュー対象に「知っている中で最も成功した人物の1人」を紹介してもらうという方法を使うことで、さらなる機会を得たそうです。

ペニーさんは、上記の依頼メールがなぜ驚異の返信率を記録したのかについて、以下のように分析しています。

1:真実性

ペニーさんは「話を聞きたい」と考えていたCEOのうち81.2%とのインタビューに成功していますが、インタビューが成立しなかった残り12.8%は、「インタビューは受けない」と返答があったのではなく、純粋に返信がありませんでした。「彼らにはメールが届かなかったか、忙しすぎたんでしょう」とペニーさんは述べています。

メールの中でペニーさんは自分自身を「ばかなほど熱狂的で情熱的な学習者」と書きましたが、このような「真実」を述べたことが、高いコンバージョン率の一因だったとペニーさんは振り返っています。とにかくメールにありのままの真実を書くことが、メールのポイントだとのこと。

2:大胆さと斬新さ

多くの人は自国で最も成功しているCEOに話を聞くなど不可能だと考えています。この結果として、CEOたちはそういった漫然としたメールは受け取らない傾向にあるとのこと。競争は「現実的なレベル」のものが最も激しく、ペニーさんの目標は「現実的ではなかった」からこそ成功したといえます。

また、西欧諸国では大胆さや斬新さが評価されやすいことも、ペニーさんの目標達成には関係しているとみられています。

3:使命を持っていたこと

ペニーさんの使命は「誰でも変わることができる」と示すことだといいます。使命の一部には「新しいことを学んでそれを次世代に渡す」ことが含まれ、これはCEOインタビューの目的でもありました。この使命を持っていたことが最終的に「アイルランドで最高の位置にいる人物の戦略」という本を書く機会にもつながったとのこと。

「心から信じる使命があり、それが他人を助けることにつながる時、他の人もあなたを助けてくれます」とペニーさんは述べています。

4:策略と好奇心

メールを書き終えた時、送信先のCEOがどのような反応をするのかペニーさんには予想がつきませんでしたが、「一体これはどういう人物なんだ?このメールは一体何なんだ?」と興味をかき立てたいと考えていたそうです。詳細を省き含みを持たせて人の興味を引きつける策略を立てるのではなく、あくまで正直に書きつつも、相手の好奇心をそそったのがよかったのだとペニーさんはみています。

5:人は本質的に親切で誰かを助けたいと思っている

インタビューを実施した後に理解した事実として、インタビュー対象の人々は「人がよく、自分のことを助けようとしていた」とペニーさん。このインタビューをきっかけにペニーさんは有名出版社からの本の出版や、大企業での講演など、大きな機会を得て、また数多くのCEOとつながりができたとのこと。

6:全ての人は「物語」を愛している

そして、ペニーさんのメールには「興味をそそる物語」が含まれていたこともポイント。人類は物語とともに歩んでいます。人は感情によって駆り立てられるため、物語は他者の人間的な側面を許容させます。「全ての人は物語を持っています」とペニーさんは述べており、物語をつづるにあたって「自分は何をやっているのか、なぜそれをやろうと思ったのか。今の自分がどのように作られたのか、何を学んできたのか。そして自分が何を恐れ、他人に助けを求めることでそれをどう乗り越えられるのかを考えてください」とアドバイスしました。