15秒で作った醜いバナー広告がプロのバナー広告よりも高い効果を発揮したという実験結果

ウェブメディアから自分のサイトにユーザーを誘導するためのバナー広告は、目にしたユーザーが思わずクリックしてしまうような視覚的なインパクトが重要になります。このためプロにバナーを作ってもらうことが一般的ですが、ある実験では、たった15秒で作った落書きのようなバナー広告が、プロによるバナー広告もはるかに高パフォーマンスであることが示されました。

Looks vs Results | Greg Kogan
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エンジニアからマーケティングコンサルタントに転身したグレッグ・コーガン氏は、どのようなマーケティングが本当に有効なのか?ということを確かめるべく、さまざまな実験を行っています。

たとえば、メールの長さと返信率の関係をA/Bテストした際には、「メールを短くするほど返信率が上がる」ということが示されています。以下がオリジナルのメールで……

こっちが短縮版のメール。

オリジナルのメールは150個以上の単語が含まれ、その返信率は1%(100人に1人)でした。一方で単語数を37語に絞ったメールの返信率は4%(25人に1人)に上がったとのこと。言い換えると、メールの文章を75%削減すると、返信率が300%になったことになります。

さらにコーガン氏はメールの意味を保持しながらも、上記の短縮版メールからさらに50%の単語を削減したメールを送信。このメールに含まれる単語はわずか14個で、オリジナルに含まれる単語数の約10%にあたります。

するとメールの返信率はさらに上昇。以下のグラフは縦軸が返信率、横軸がメールの長さを示し、グラフのドットは左から14単語のメール・37単語のメール・150単語のメールの返信率です。14単語のメールの返信率は7%なので、150単語のメールの700%の返信率といえます。

コーガン氏はこのように効果的なマーケティングキャンペーンに関する実験を何度も行っており、メールキャンペーンに関しては、デザインやコーディングにこだわらないシンプルな電子メールはより多くの受信者に開かれ、クリック数は3倍以上になることも示しています。

そして新たな実験で、コーガン氏が測定したのはバナー広告の効果。実験の場所はビジネス特化型SNSのLinkedInで、148ドル(約1万5000円)と数日かけてプロが制作したバナー広告(左)と、ノートにペンでメモ書きしたかのようなバナー広告(右)のいずれの効果が高いのかをA/Bテストで実験しました。バナーに書かれた「When “BIG CLOUD” Becomes The COMPETITION」「READ MORE」というメッセージは同じです。

これが結果。プロが制作したバナー広告の場合、ウェブサイトを訪れたのは12ユーザー、CPR(Cost Per Response/レスポンスを得るににかかったコスト)は19.2ドル(約1996円)、インプレッションは5563、クリック数は12、平均CTRは0.22%。これに対し落書きのようなバナーの場合、ウェブサイトを訪れたのは24ユーザー、CPRは11.23ドル(約1167円)、インプレッションは4403、クリック数は24、平均CTRは0.55%となりました。

これはつまり、落書きのようなバナーのCTRが、プロによるバナーのCTRの150%だったということ。

制作時間15秒、コストゼロのバナー広告が時にはプロが有料で作ったバナー広告よりも高パフォーマンスになるということが、上記の実験で示されました。「努力する価値があるものと、そうではないものがあることは覚えておくべきです」とコーガン氏は述べています。