決済時に初めて支払総額が表示される「ドリッププライシング」の圧倒的な効果が実験で示される

ウェブサービスやウェブサイトには、収益を上げるためにわざと解約ボタンを分かりづらくしたり、あたかも有料オプションをデフォルトオプションのように見せたりするといった「ワナ」が仕掛けられていることがあります。このようなデザインは「ダークパターン」と呼ばれます。

新たな研究では、ダークパターンのうち、購入の最終段階になって追加料金が初めて表示される「ドリッププライシング」がいかに顧客からお金を得るのに効果的なのかが示されました。

Price Salience and Product Choice
(PDFファイル)http://faculty.haas.berkeley.edu/stadelis/AIP.pdf

Buyer beware: Massive experiment shows why ticket sellers hit you with last-second fees | Haas News | Berkeley Haas
https://newsroom.haas.berkeley.edu/research/buyer-beware-massive-experiment-shows-why-ticket-sellers-hit-you-with-hidden-fees-drip-pricing/

ドリッププライシングはその性質から「コスト隠し」とも呼ばれるもの。シカゴ大学のマーケティング学准教授であるサラ・モシャリー氏は、カリフォルニア大学バークレー校の経済学者であるスティーブン・タデリス氏や、オンラインチケット販売サイトのStubHubの元データサイエンティストであるケイン・スウィーニー氏、Amazon所属の経済学者兼データサイエンティストのトーマス・ブレイク氏と共に、コスト隠しが実際にどれほど効果的なのかを調べるべく、大規模な実験を行いました。

実験はStubHub上で実施されました。実験開始前の2015年の時点でStubHubは、ユーザーがウェブサイトを訪れた時点で「チケット購入に必要な総額」を見せる設計でした。この総額は、チケットの料金の15%にあたる手数料および送料を含みました。

実験では、数百万人存在するアメリカのStubHubユーザーのうち半分に、ショッピング画面では手数料を含めない「純粋なチケット価格」を見せたとのこと。これらユーザーはチェックアウト画面になって初めて支払総額を確認することになりました。残り半数のStubHubユーザーは、それまでと同様にショッピング画面で支払総額が確認可能でした。

この結果、最初に総額を示されなかったユーザーは総額を示されたユーザーに比べて21%チケットに支出し、14%も購入を完了しやすいことが示されたとのことです。また、総額表示されなかったユーザーの購入したチケット額は総額表示されたユーザーが購入したチケット額よりも5%高く、これは、前者が舞台に近い良い席を購入する傾向にあったためだと記されています。

研究者はさらに、チケット購入者がどのような道筋でクリックを進めて購入に至ったのかを調査。すると、総額表示されなかったユーザーはランディングページでチケットをクリックする可能性が非常に高く、クリック率は総額表示を見たユーザーの119%でした。ただし、チェックアウト時の離脱も多く、チェックアウトボタンのクリック率は最初から総額表示されていたユーザーよりも45%も低かったとのこと。また、このようなユーザーはページを戻って再検索する可能性も高かったそうです。

上記の実験結果が示された後、StubHubはウェブサイトの構成を変更し、チェックアウト時になって初めて総額が表示されるようにしました。StubHubは売り手にマーケットプレイスが含まれるため、売り手が仕様変更にどう対応するかを観察したところ、売り手はユーザーがより高額なチケットを求めることを把握し、舞台に近い高額なチケットをリストし始めるとともに、消費者にとってより魅力的に見えるようにチケット価格を端数で設定しだしたとのこと。

加えて、研究者がStubHubのヘビーユーザーとそうでないユーザーを区別し実験を行ったところ、過去に10回ウェブサイトにアクセスしたことがある購入者はドリッププライシングに対し、初心者グループに比べて支出が少なくなることが判明しました。これは言い換えると、ドリッププライシングは、住宅や自動車など、消費者の購入頻度が低いものに対して、より顕著に効果が出る可能性があるといえます。

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