「ネイティブ広告」という言葉を作った張本人が語るネイティブ広告の定義とは?

広告・マーケティングで使われる「ネイティブ広告」という言葉は、2011年に実業家のフレッド・ウィルソン氏がニューヨークの広告コミュニティに向けたプレゼンテーションで初めて言及しました。しかし当時インターネットで公開されたプレゼンテーションの映像はFacebookで9回だけ「いいね」され、ツイートは21リツイートと、広く共有されませんでした。このためウィルソン氏がネイティブ広告について何を話したのかはあまり知られていないとして、イギリスの新聞社であるThe Guardianは「プレゼンテーションでウィルソン氏が実際に話した内容」をまとめています。

Native advertising doesn’t need to be rocket science | Content marketing | The Guardian
https://www.theguardian.com/media-network/media-network-blog/2014/apr/11/native-advertising-content-marketing-fred-wilson

ウィルソン氏はプレゼンテーションの前提として、「デジタルメディアは断片化しているため、マーケターが規模拡大を試みるには、効果的にオーダーメイドされた『ネイティブ』な広告をそれぞれのデジタル環境に配置しなくてはならない」という状況を説明。そしてネイティブ広告はパフォーマンスを改善するものの、結果を出すためには多くの仕事を必要とし、マーケターは「管制室のNASA職員」のようにならねばならないとウィルソン氏は述べました。

このプレゼンテーション自体は、ウィルソン氏の投資するベンチャーキャピタルが提供する広告サービスのプロモーションを目的としたものでしたが、話の中でウィルソン氏はネイティブ広告について以下のように定義しました。

◆1:コンテンツの周囲ではなく「中心」に配置されていること

ネイティブ広告の核となる定義は、「広告がコンテンツの『周辺』ではなく、『消費者の注意の中心』に配置されていること」という、「配置」に関するもの。当時、一般的なバナー広告はウェブサイトの右上という、コンテンツ周辺に配置されているものでした。当時も「ネイティブ要素を備えた広告」をアピールしている広告プロバイダーはありましたが、それらはコンテンツの周辺に配置されており、「ネイティブ」にはあたらないとウィルソン氏は述べています。

◆2:消費者のデジタル体験によって収益が生み出されること

ウィルソン氏が述べた2点目の定義は、収益システムである広告枠が「消費者が使用するデジタルサービスの体験に根差している」ということ。体験の種類はテキスト・画像・音声・動画サービスを問いませんが、広告フォーマットはコンテンツとシームレスである必要があります。

◆3:広告がユーザーのデジタル体験を損なわないこと

3つ目の点は、表示される広告がユーザーのデジタル体験を損なうものではなく、その価値を増加させる必要があるということ。価値の増加を実現させるためには、広告のクリエイティブがユーザーのデジタル体験にフィットする形であること、そしてマーケティングのメッセージが適切なタイミングで配信されることが重要とのことです。この2つの点を満たした広告はより高いパフォーマンスを実現するとウィルソン氏は述べました。

ウィルソン氏はネイティブ広告について上記のように定義しつつも、デジタル広告はそもそもオンラインマーケティングの断片化を前提としているため、「ネイティブ広告を大規模に行うことはできない」とも述べています。ネイティブ広告はブランドが特定のメディアで行うものであり、ゆえにメディア側には幅広いリーチを達成するだけの「複数のネイティブ広告のフォーマットが求められる」というのがウィルソン氏の見解。また、メディアに掲載される広告はブランドの価値を高める品質であり、多様性を持ち、他のメディアでクリエイティブを再利用できるものが求められるともウィルソン氏は述べました。

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