アドテク企業のIntegral Ad Scienceが2021年6月29日に1株あたり18ドル(約2000円)で1500万株の普通株式を新規株式公開し、IPOを行いました。6月30日にはNASDAQ株式市場で取引がスタートしましたが、同日に1株あたりの価格が22ドル(約2400円)にまで上昇し、同社の価値は33億ドル(約3670億円)近くになりました。大きな注目を集めるIntegral Ad Scienceはどのような会社なのか、まとめました。
Ad tech company Integral Ad Science closes up 14% in market debut
https://www.cnbc.com/2021/06/30/ad-tech-company-integral-ad-science-pops-18percent-in-market-debut.html
Integral Ad Science Pursues $240 Million IPO (Pending:IAS) | Seeking Alpha
https://seekingalpha.com/article/4436493-integral-ad-science-pursues-240-million-ipo
近年のデジタル広告のサプライチェーンは複雑化しており、「よく言って不透明、悪く言って詐欺」と指摘されるほど。このため配車サービスのUberは「支払っている広告費の3分の2を削減してもパフォーマンスが変わらなかった」という事態に陥ったことがあると言われており、広告を出す側にとって「本当に広告が表示されているのか」「効果を出しているのか」は見えにくく、気になるところです。
このようなニーズがある中で、Integral Ad Scienceは自社を「検証会社」と位置づけており、世界中の企業にデジタル広告の監視と検証サービスを提供しています。具体的に言うと、Integral Ad Scienceのテクノロジーは広告が適切な場所で、不正なく、ちゃんと表示されているのかを監視するとのこと。

Integral Ad ScienceのCEOであるLisa Utzschneider氏は、「YouTubeで表示されるコカ・コーラの広告を例に取ると、我々は広告が本当に人間によって視聴されているのかを確認したり、ブランドとマッチしイメージを守るコンテンツと一緒に表示されるよう調節を行ったりします。また、コカ・コーラというブランドに合う、または合わないコンテンツを探し出すというコンテンツターゲティングのお手伝いもしています」と述べています。
Integral Ad Scienceは世界8カ国に11箇所のオフィスを持ち、コカ・コーラの他に、ネスレ、ベライゾン、グラクソ・スミスクラインといった大手を含む2000企業をクライアントに抱えています。またロイターやコムキャストといったパブリッシャーと提携しており、「パブリッシャーがより高品質なメディアを提供し、全体的な収益率を向上させ、最適化を図るための手助けをしています」ともUtzschneider氏は述べています。加えて、前述の通り同社はコンテンツターゲット広告のサービスを提供していますが、これはGoogleがサードパーティーCookieを廃止した後の世界で、ブランド側が「避けたい」あるいは「近くに置きたい」コンテンツを探し出すための差別化要因になると考えてのことだそうです。
Utzschneider氏はもともとMicrosoftでオンライン広告事業を担当していた人物で、Microsoftを退社後はAmazonのグローバル広告部門の責任者を経て、Yahoo!の最高収益責任者(CRO)を務めました。

Fortune Business Insightsの調査報告によると、「グローバルなメディア監視ツール」の市場は2020年に27億400万ドル(約3000億円)規模になったとみられており、2028年にはさらに拡大して72億5000万ドル(約8050億円)規模になるものと予測されています。企業のデジタル広告に対する支出は依然として増加傾向にあることから、デジタル広告の監視および検証機能に対する需要は今後も高まっていくと考えられているとのこと。
Integral Ad Scienceの競合企業は2021年4月にIPOを行ったDoubleVerifyだと言われています。DoubleVerifyはIPO以降、株価を31%上昇させ、6月末の時点で1株あたり47.35ドル(約5260円)となっています。
なお、新しいデジタル広告の出稿先を探している場合は、「理解の伴う認知」を拡大できる記事広告という方法もあります。
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