by Dave Winer
チリソースであるシラチャー・ソースは、アメリカでは熱狂的なファンを持ちます。アメリカ以外にも日本を含め世界中で販売されるシラチャー・ソースは年間売上が1億5000万ドル(約165億円)を超えていますが、実は営業チームを持たず、広告費ゼロで売り上げを伸ばしてきました。シラチャー・ソースがなぜ世界的なブランドになれたのか、作家のTrung TPhan氏がまとめています。
Huy Fong’s Sriracha hit revenue of $150m+ a year…with no sales team, no trademark and $0 in ad spend.
— Trung Phan 🇨🇦 (@TrungTPhan) June 27, 2021
Its creator is Vietnamese-American David Tran, making the sauce’s success a tale of immigrant hustle and a product that literally sells itself.
Here’s the story🧵 pic.twitter.com/siEoK6UeLs
シラチャー・ソースの歴史には議論がありますが、1930年代にタイの「Si Racha(シラチャ)」という村でThanom Chakkapakという女性が唐辛子ペースト・醸造酢・にんにく・砂糖・塩からなるソースを製造したことが始まりだと言われています。その後、さまざまなバリエーションが作られつつシラチャー・ソースは広がっていきました。南ベトナムの元兵士であるDavid Tran氏が作ったソースも、そのバリエーションの1つです。
1978年、Tran氏の家族は「繁栄する仲間たち」を意味する難民船「Huey Fong」に乗り込み、アメリカに到着。Tran氏の家族は最終的にロサンゼルスに移り住みました。当時、カリフォルニア州にシラチャー・ソースに当たるものは存在しなかったため、Tran氏はレシピの材料を唐辛子から地元で採れるハラペーニョに変更してシラチャー・ソースを売り出したとのこと。
こうして生まれたシラチャー・ソースは当初、リサイクルされた離乳食の瓶に詰められ、バンで販売されました。初月の売上げは2300ドル(約50万円)だったそうです。

製品を目立たせるため、Tran氏は販売するもの全てに「おんどり」(=雄鶏)のイラストを印刷しました。なぜおんどりなのかという理由は、Tran氏がとり年であることに由来するとのこと。そして後に内容物を絞り出せる画期的な「スクイズボトル」をデザインし、新鮮さをイメージさせる緑色のキャップをつけました。

1980年代、アメリカではアジア料理のレストランや食料品店が増加していき、これに伴いシラチャー・ソースの人気も高まっていきました。需要に追いつくためTran氏は1980年にロサンゼルスのチャイナタウンに約460平方メートルの工場を作り、1987年に約6300平方メートルの倉庫を、2010年には約6万平方メートルの倉庫をカリフォルニア州に作りました。
シラチャー・ソース は材料が少ないため、Tran氏は市場で勝つために「最良のもの」を求めました。特にハラペーニョの収穫タイミングは難しく、ミスが許されません。Huy Fongは1年で供給する シラチャー・ソース の材料となるハラペーニョをわずか10週間のうちに収穫するとのこと。
またHuy Fongはハラペーニョの品質を保つために、28年間、1社だけから仕入れを行っていました。しかし2017年に仕入れ先の企業がつぶれてしまったため、その後、Huy Fongは3社から仕入れを行っています。工場では1日16時間、仕入れたハラペーニョの加工を行い、年間約4500キログラムを処理するとのこと。
年々売り上げを伸ばし、2019年にはアメリカのホットソース市場の10%にあたる年間165億円を売り上げた シラチャー・ソース ですが、「営業チームが不在」「広告費をかけない」という驚くべき戦略を取っています。この点、Tran氏はシラチャー・ソース に商標をつけなかったことで有名です。商標登録が行われていないため、ハインツからタバスコまで、多くの競合ブランドが「シラチャー」という言葉を使うことができます。Tran氏は多くの商品が「シラチャー味」を作ることが、 シラチャー・ソース にとっての「無料の広告」となると考えています。

「私は製品を作ることに忙しくて、他のブランドについて心配したことがありません。需要を満たすだけの製品を作れたことがないんです。消費者のためには、他のブランドにも協力してもらいましょう」とTran氏は述べています。
また シラチャー・ソースのボトルは5言語に対応しているのもポイント。

タイには「Sriraja Panich」というライバル商品がありますが、ハラペーニョの代わりにカイエンペッパーを使ったこの製品は、Huy Fongのシラチャ-がカルト的人気を博していることもあって、アメリカ進出に手こずっているそうです。
Huy Fongを買収しようとする企業ももちろん存在します。しかし、Tran氏は「裕福な人のソースを貧しい人の価格で」というモットーを持っており、買収には目を向けません。「私のアメリカンドリームは億万長者になることではありません。私はスパイシーで新鮮なソースが好きだから、このビジネスを始めたのです」とTran氏は述べています。
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