Facebookの広告測定ツールにバグが存在し、2021年2月から7カ月にわたって、iOS端末における広告のコンバージョンを過小評価していたことが判明しました。
Facebook Undercounted SKAdNetwork Conversions For iPhone 12 Users Since February | AdExchanger
https://www.adexchanger.com/mobile/facebook-undercounted-skadnetwork-conversions-for-iphone-12-users-since-february/
Facebookが2021年8月20日に特定したバグは、iOS向け広告の測定システムに関するもの。AppleはiOS 14以降で広告識別子・IDFAの利用をユーザーの許可制にしているため、iOS端末で広告キャンペーンを測定するにはSKAdNetwork(SKAN)というツールが用いられます。しかし、2021年2月以降7カ月にわたって、FacebookのバグによってSKANを介したコンバージョン測定が過小評価されていたことが判明しました。なお、バグの影響はFacebookアプリを使用するiPhone 12ユーザーにのみに及び、Instagramの利用者や、Audience Networkのパートナーに影響はないとのことです。
具体的にいうと、このバグはSKAdNetworkを利用するアプリのコンバージョン測定のうち、「(1)アプリイベントに向けた最適化」「(2)バリューへの最適化」「(3)モバイルアプリのインストール」に影響すると発表されています。(1)はアクションを起こしそうな人をターゲティングするためのオプション、(2)は購入金額が高くなりそうな利用者をターゲティングするオプション、(3)は「アプリをインストールさせること」をターゲットとするオプションです。

コンサルティング会社のCounterpoint Researchによると、iPhone 12の世界販売台数は2021年4月時点で1億台を超えており、バグの影響を受けるユーザーは数千万人に上るとみられています。
Facebookの広報担当者は「バグの影響がある期間において、SKANを使ったアプリの広告は配信されコンバージョンに至った可能性がありますが、私たちはiPhone 12ユーザー向けのSKANからのポストバックを受け取っていなかったため、これらのコンバージョンを測定することができませんでした」と述べています。既にバグは修正されていますが、これまでに、SKAdNetworkの総コンバージョン数の約10%が過小評価されることになったと判明しています。またFacebookは影響を受けたと考えられる広告主に影響の内容を連絡済みとのことです。
2020年11月の時点でSKAN自体にバグがありテストが困難だったことや、SKANの技術が非常に複雑なことが開発現場を混乱させていることは確かです。Appleはプライバシー保護のため共有データを制限しており、Facebookがバグを発見したり修正したりすることが困難になっているとも指摘されています。一概にFacebookだけに非があるとは言えない問題ですが、Facebookは広告主やモバイル測定パートナーとデータを共有していないため、データを外部から検証する術もありません。このため今回発見されたバグ以外にも、iOSでのモバイル広告レポートに欠如が存在する可能性が示唆されています。
以下の広告媒体資料のパスワードを入手するにはここをクリック分かりづらい広告・アドテク・マーケティング用語の解説ページはここから
