Spotifyが「中小企業が利用可能な広告キャンペーン」を実施へ

音楽ストリーミングサービスのSpotifyを運営するスポティファイ・テクノロジーはこれまで大企業向けの広告ビジネスを展開してきましたが、広告ビジネス拡大に向けて、新たに中小企業を向けのグローバルキャンペーンを開始しました。キャンペーンの開始に合わせ、広告事業の「Spotify for Brands」は「Spotify Advertising」に名称変更されるとのことです。

Spotify Kicks Off Campaign to Win More Advertisers – WSJ
https://www.wsj.com/articles/spotify-kicks-off-campaign-to-win-more-advertisers-11632736800

Spotify Technology Stock Inches Lower Despite New Campaign
https://www.schaeffersresearch.com/content/options/2021/09/28/spotify-technology-stock-inches-lower-despite-new-campaign

「All Ears On You」と名付けられたSpotifyの新しいキャンペーンは、デジタル動画・ソーシャルメディア・Spotify内外のオーディオ広告を駆使したものになる予定。具体的な仕組みについては未発表ですが、Spotifyは広告が「コンテンツに最も没頭しているオーディエンスにリーチする」ものであると説明しており、記事作成時点ではアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、スペイン、ニュージーランドなどでの展開が決定しています。

もともとSpotifyは音楽ストリーミングサービスとして人気を集めていましたが、2019年頃からはポッドキャスト業界への進出に力を入れてきました。Spotifyはポッドキャスト制作スタジオGimlet Mediaやポッドキャスト番組を制作するスポーツメディアRingerの買収を行うほか、世界で最も稼ぐポッドキャスト配信者として知られるジョー・ローガン氏と独占契約を結ぶなどして、ポッドキャストサービスとしての地位を確立。2021年8月にはあらゆるユーザーがポッドキャストで収益化できるサブスクリプションプランを発表しました

Spotifyはポッドキャスト利用者を順調に増やしており、2021年末には月間リスナー数が2820万人となり、Appleのリスナー数を超えると見込まれています。

そして、ポッドキャスト業界で躍進を続けると同時に、Spotifyは広告事業の強化も図っています。

Spotifyは2020年にポッドキャストの制作や広告運用を行うMegaphoneを買収し、2021年初頭にはオーディオ広告のマーケットプレイス「Spotify Audience Network」を発表。これにより広告主がポッドキャストごとに広告枠を購入するだけではなく、Spotifyを中心としたさまざまな場所で特定オーディエンスをターゲットにできるようになりました。またSpotify Audience Networkの導入によってSpotifyが販売する広告在庫の数が3倍になったとのことです。

Spotifyの広告収益は、2020年第2四半期には収益全体の7%だったのですが、2021年第2四半期には、これが12%にまで成長。収益額は前年同期比で2倍となり、ポッドキャストの広告収益に限定すれば7倍の成長がみられたとのこと。これを受けてダニエル・エクCEOは広告が同社の主要な収入源になりつつあると述べています。中小企業をターゲットとした「All Ears On You」は、ポッドキャスト事業と広告事業を同時に拡大するためのものだとみられています。

調査会社のフォレスター・リサーチによると、広告主は長い間、Spotifyをマーケティング分野の新興プレイヤーだと考えていたそうですが、近年は「音楽ストリーミングやポッドキャストにおける主要プラットフォーム」という見方が強まっているとのこと。一方で、音楽ストリーミングやポッドキャストのリスナーは、InstagramやFacebookのユーザーと違って、「すぐに画面をタップできる状態」ではないことから、広告効果を測定することが難しいという指摘もあります。これについてSpotifyは、アプリ上でより正確に広告を測定するためのツールをテスト中であると回答。「これによって広告費と投資利益率の直接的なつながりがマーケターにとって分かりやすくなります」とSpotifyのグローバル広告ビジネス代表のジェイ・リッチマン氏は述べています。

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