Facebookマーケティングは壊滅的、「目隠しして走っている状態」という報告

Facebookは世界最大の広告企業という位置づけですが、広告パフォーマンスの高さを「ユーザー追跡」によって実現してきました。しかし、プライバシーの観点から広告目的のユーザー追跡が規制されるようになり、Appleが新機能「App Tracking Transparency(ATT)」でセキュリティを強化してからは、その広告パフォーマンスが壊滅的なまでの影響を受けています。「マーケティングを1つのチャネルに依存するのは危険」ということが改めて認識され、マーケティングを多様化することの必要性が叫ばれています。

“Completely Running Blind.” Apple’s Power Move To Kneecap Facebook Advertising Is Working. – by Alex Kantrowitz – Big Technology
https://bigtechnology.substack.com/p/completely-running-blind-apples-power

Appleが2021年4月26日にリリースした「iOS 14.5」では、企業による広告目的のユーザー追跡をユーザーの許可制にする「App Tracking Transparency(ATT)」が有効化されました。これはプライバシーの向上を目的としたものですが、ユーザーの行動を追跡して得たデータを広告配信に活用していたFacebookにとっては死活問題となりました。

たとえば、2021年7月の時点で広告追跡を許可しているユーザーは全体の25%に過ぎないと報告されています。つまり、75%のユーザーに対しては、これまでのように広告を配信できないということであり、その影響は「広告主の大部分にとって、壊滅的なものだった」と言われています。

Carouselという企業でFacebookマーケティングを行っていたAaron Paul氏は、「ATTの導入前はトラフィックのうち80%がFacebookからだったにもかかわらず、ATT導入後には20%にまで減少した」と明かしています。Paul氏によるとFacebookマーケティングは「目隠しをして走っている状態」とのことで、それまで1日あたり数百万ドル(数億円)だったFacebookマーケティングの費用が数十万ドル(数千万円)にまで縮小しているそうです。

Facebookは非常にマーケティングパフォーマンスが高いツールとして利用されてきましたが、ATT導入後は「1つのチャネルに依存するのは危険」という理由から、Paul氏は予算の割り当て先をSnapchatTikTok、メールマガジンなどで多様化しようとしています。また、ATT導入がビジネスに壊滅的な影響を与えていると感じているのはPaul氏に限りません。Facebookのマーケティングパフォーマンスが40%低下したり、収益が60%減少するケースも報告されているとのこと。

Facebookは2021年2月以降7カ月にわたってiOSユーザーのコンバージョンを過小評価していたことが判明しています。Facebookは2021年9月22日に公開した記事で事態を説明し、広告主が「予想以上に大きな影響を感じていた」と述べました。このニュースを受けて、翌23日にはFacebookの株価が4%下落しています。

なお、広告の中でも記事広告は1つのプラットフォームに依存せず、検索エンジン経由で長期的な流入を見込むことが可能です。また、画像1枚で全てを説明するのではなく「記事」として豊富な写真と文章でユーザーを説得できるので、「こだわりの強い製品」であるほど効果を発揮できます。

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