製品やサービスを開発・販売していく中で、「プロダクトがいかにすごいか、価値があるか」を従業員・投資家・顧客・メディアなど示すことは非常に重要になります。どんなに優れた技術でも「見せ方」に失敗すれば価値が伝わらず、見向きされないことがあるということで、小規模ビジネスの支援を行うHunter Walkはその「売り出し方」が分からない時にすべきことをまとめています。
What To Do If You’re a Startup CEO & You Don’t Know How To Sell | Hunter Walk
https://hunterwalk.com/2020/12/13/what-to-do-if-youre-a-startup-ceo-you-dont-know-how-to-sell/
料理の写真を撮影した時に、食欲をそそる、おいしそうに見せる要素を「シズル」という言葉で表現しますが、ソフトウェアやウェブサービスにおいてもこの「シズル」感は非常に重要です。これは言い換えれば「商品をよく見せる」方法を知るということ。まったく価値のないものを見た目だけよく見せることは問題ですが、優れた技術を開発していても「よく見せる方法」を知らなければ、それが消費者に届く可能性は小さくなります。
スタートアップの場合、この問題にまず対処すべきなのがCEO。かけだしのスタートアップの場合、製品や分野、開発の段階などにかかわらず、CEOは主要な営業担当の役目を負います。ここでいう「営業担当」としての役目というのは、従業員に「ビジョン」を説き、投資家に「可能性」、メディアには「物語」、顧客には「製品」を売り出していくことを指します。Walkさんは、スタートアップのCEOは「少なくとも50%の時間を営業に割くべき」と考えています。もちろん、営業が得意な従業員やパートナーに依頼するのも1つの方法ですが、営業はCEOとしての手腕を熟練させるため、できる限り自分で行うべきとのこと。
そんなWalkさんが推奨する、「スタートアップのCEOが営業の腕を伸ばす方法」は以下の通り。
◆01:優れた営業担当のムービーを見る
これは、「営業のテクニックをムービーで学べ」という意味ではなく、「ストーリーテリング」が上手な人々からアプローチを学ぶというもの。Walkさんが例に出しているのはものの1つが、映画監督のJ・J・エイブラムスによるTED Talksでの講演。このムービーの中でエイブラムスはあえて情報を隠して「謎」を作り、想像力をかき立てることで話の聞き手を引きつけるという手法について語っています。
The mystery box | JJ Abrams – YouTube
また、道ばたでひたすら楽しげにニンジンやジャガイモの皮を向くスーツの男のムービーもWalkさんは例に挙げました。
Best Salesman in the World – YouTube
なお、ストーリーテリングは記事広告で外部メディアに委託することもできます。
◆02:コーチをつける
コーチとなる人物は自分で「効果的」と思うのであればCEOコーチ、営業担当のアドバイザー、コミュニケーションの専門家を問いません。また、行っている「営業」がどのような種類なのかによっても、つけるべきコーチは変わります。
◆03:リスクの小さい環境で練習を積む
実践を重ねることは、時に居心地の悪い思いをするかもしれませんが、営業の手腕を上達させます。人前で話す司会者の役割を買ってみたり、誰も営業力を気にしないような非営利組織などで募金を募るボランティアをしてみたり、フリーマーケットで値切り交渉を試してみたりといった、リスクの少ない方法で練習を積むことも推奨されています。
◆04:別人になろうとしないこと
最も持続性が高いのは、「自分自身のままでいること」が自然と営業につながることです。このため自分にない能力を持つ理想像を目指して無理やり変わろうとするのではなく、自分自身が持つ能力や性質を伸ばす方向でいくべきとのこと。経験不足や緊張しがちな性質を自覚しているならば、それをストーリーに組み込めばOK。「〇〇で働いていた時はいつも確信が持てず、人々に参加してもらうことに苦労しました。しかし今、私はこの△△のCEOとして、自分たちの使命を強く感じています」といったように話しだすことで、相手をストーリーに引き込むことができます。
・関連記事
驚異の返信率81%の依頼メールを書くためのルール | GIGAZINE.BIZ

1つのプラットフォームに依存することがウェブサービスを破滅に導く | GIGAZINE.BIZ

分かりづらい広告・アドテク・マーケティング用語の解説ページはここから
