「40万円の靴を買う人」の心理を理解することがコンバージョンの向上に役立つ

ショッピングサイトであってもウェブサービスであってもコンバージョンを上げるためには「なぜ人がその商品を欲しがるのか」を深いところまで理解する必要があります。コンサルティング企業Expatriate ConsultancyのCEOであるLevi Borba氏は、この理解に「40万円の靴を買う人の心理」を考えることが役立つと解説しています。

Understanding Why People Buy $4000 Shoes Will Change Your Marketing Strategy | by Levi Borba | The Startup | Mar, 2021 | Medium
https://medium.com/swlh/understanding-why-people-buy-4000-shoes-will-change-your-marketing-strategy-504c6ae70f8a

◆商品を購入する人は「商品」にお金を支払うわけではない

Borba氏は大学時代に「億万長者の息子」と同じマーケティングの講義を受けたことがあり、その時の講義に登場した300ドル(約3万円)のジーンズについて、億万長者の息子が「300ドルのジーンズを購入する人は誰でもジーンズとは別の『真剣なニーズ』を持っているはずです。ジーンズにそんなに払う人を見たことがないから」と語ったことが印象的だったと語っています。

この発想は、マーケティングにおいて非常に重要だとBorba氏。人が欲しがるものは「商品そのものでない」ケースが多々あるためです。

フォードの創業者であるヘンリー・フォードは同様の考えを、「もし私が人々に何が欲しいかを尋ねて回ったら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えただろう」という言葉で示したとされています。つまり、人々は「馬」という商品ではなく「速い移動手段」という結果を欲していたのですが、単純な質問ではそのニーズが導けないということ。フォード氏が実際にこのような発言を行ったかは議論があるところですが、その内容は的を得ているとBorba氏は記しています。

仮に40万円の靴を購入する人がいたとして、なぜその靴が必要なのかは、購入者が新郎であるか政治家であるか、外交官であるか、ハンドメイド靴の愛好家なのかで異なります。政治家や経済学者は高価なアクセサリーをつけることで相手に「自分は成功者である」と印象づけることが可能なので、印象操作のために高価な靴を購入することがよくあります。つまり、本当に購入したいのは「成功者としての印象」であるわけです。

消費者が購入しているのは「商品そのもの」ではなく「商品によって得られる結果」であるという点を念頭に、物を売る立場の人は、自分の顧客の心理を深く理解する必要があるとのこと。3000円で購入することが可能なジーンズを3万円で購入する人は、「2万7000円相当の価格差を補う何か」を求めている、とBorba氏。

Borba氏が運営するコンサルティング企業の商品はもともと「コンサルティングのセッション」でした。しかし、ある時「クライアントは問題が解決するかどうかわからないのに、時間あたりでコンサルティング料を払うのが心配なのだ」ということにBorba氏は気づいたそうです。そこで、「時間あたりのコンサルティング」ではなく、「問題解決に対する保証」を販売することにしました。これにより、商品をより魅力的にするだけでなく、値上げにも成功したとBorba氏は述べています。結局のところ、クライアントが求めていたのはコンサルティングではなく「安心」だったわけです。

◆人が高価な物を買う理由

そして人が高価なものを購入する場合、理由の多くは「希少性」にあるとBorba氏。希少性は消費者に対し「今すぐに買わないと」という「緊急性の感覚」と、ステイタスの高さを意味する「排他性の感覚」を生み出させます。後者はヴェブレン財という言葉でも言い表され、一般的な商品が「価格が高くなるほど需要が減る」という曲線を描くのに対し、ヴェブレン財は「価格が高くなるほど需要が増加する」という逆の曲線を描きます。

とは言っても、希少性には適切な理由が必要。「手作りのため大量生産できないカバン」「希少成分が入っている化粧水」「動員数の限られているコンサート」などがその理由にあたります。一般的には「製品が不足していること」はネガティブな事柄に受け取られがちですが、高額製品の場合は「製品の不足」と「希少性の理由」を明確にすることで顧客に価値の理解を促しプラスの影響を与えるとBorba氏は述べました。

また上記のような考え方を身に付ければ、高価でない商品を販売することにも役立つとのこと。自分が請け負った1つの事例として、Borba氏は「空港近くのホテル」を挙げています。空港近くのホテルは、通常、旅行者が次のフライトまでの休憩や、待ち時間を使って街を観光したい時に利用します。このためBorba氏は当初、「フレンドリーで落ち着いた雰囲気の清潔な部屋を提供すること」が大切だと考えました。

しかし、その後Borba氏は「旅行者が望んでいるのは『次のフライトに遅れない』という確実性だ」と気づいたとのこと。このことには競合他社も気づいていませんでした。そこでBorba氏はホテルに対し「標準的なサービスに空港までの無料送迎を加えること」を提案。これにより、無料送迎のコストを補うほどに十分な値上げを行うことができたそうです。

◆商品について考える時に自問自答すべきこと

自分の顧客には「欲しい物は何ですか?」と尋ねずに、顧客に隠された欲求を突き止めることが重要とBorba氏は述べています。親がディズニーランドのチケットを購入するのはディズニーランドのチケットが欲しいからではなく子どもたちの笑顔を見たいからであり、人々が保険を購入する時に本当に欲しいのは安心です。

Borba氏は製品について考える時に、以下の質問を自問自答することを推奨しています。

・自分の売っている商品を購入した人が得る「最も大きな恩恵」は何か?
たとえば空港ホテルの場合は「次のフライトまでに空港に到着すること」と「休暇の準備ができること」です。

・ビジネスでどのように「希少性」を生み出せるのか?
Borba氏のコンサルティング企業の場合、カレンダーで「予約が取りにくい期間」を可視化しました。

・見込み客にはどのような異議があり、その異議をどのように解決できるか?
Borba氏のコンサルティング企業の場合、「問題が解決できずお金を無駄にする可能性がある」ことが異議でした。

・どうすれば「法外なオファー」を行うことができるか?
Borba氏のコンサルティング企業の場合、「問題解決ができない場合、1円たりとも受け取らない」ということを保証として明記しました。

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