ウェブサイトを運営する上でコンバージョンを高める工夫は必要ですが、それが度を超し「ユーザーをだます」デザインが採用されることが多くあります。近年はダークパターンと呼ばれるこのようなデザインが問題視されるようになってきており、ついにアメリカ・カリフォルニア州でダークパターンを禁じる法律が可決しました。
FINAL REGULATION TEXT
(PDFファイル)https://oag.ca.gov/system/files/attachments/press-docs/CCPA%20March%2015%20Regs.pdf
Attorney General Becerra Announces Approval of Additional Regulations That Empower Data Privacy Under the California Consumer Privacy Act | State of California – Department of Justice – Office of the Attorney General
https://oag.ca.gov/news/press-releases/attorney-general-becerra-announces-approval-additional-regulations-empower-data
California bans ‘dark patterns’ that trick users into giving away their personal data – The Verge
https://www.theverge.com/2021/3/16/22333506/california-bans-dark-patterns-opt-out-selling-data
California Approves ‘Dark Patterns’ Ban -If you Encounter Subscription Cancellation Issues, They Might be These | Tech Times
https://www.techtimes.com/articles/258062/20210316/california-approves-dark-patterns-ban-encounter-subscription-cancellation-issues.htm
ダークパターンにはいくつもの種類があり、「通販サイトで購入の最終画面になって初めて税や送料といった費用が表示される」というものや、「1つの質問に回答させているように見せかけて、よく読むと複数の異なる質問に回答させている」というものなどもあります。
新たな法律は、アメリカ国内で最も厳格だといわれる消費者プライバシー法「2018年カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」を強化したもの。CCPAはカリフォルニア州の消費者が「企業にプライバシー情報を提供すること」を拒否できるようにするものですが、実際には企業側から示される選択肢が複雑すぎて、ユーザーが拒否できないようになっているという現状が指摘されてきました。
企業側から示される選択肢が複雑すぎるというのは、企業側が意図してダークパターンを利用していることが理由です。そこで消費者が自分のプライバシーの権利に基づきデータを制御しようとした時に、混乱したり、ミスリードされないように、新たにダークパターンの禁止が明示されたわけです。

このため、新しい法律は全てのダークパターンを一律に禁じるものではなく、個人情報の売買について「消費者のオプトアウトを実質的に妨害する効果を持つもの」に限られています。当局は具体的に以下のような例を挙げています。
・「私の個人情報を売らないことを禁じます」のような、二重否定を始めとする紛らわしい文言の使用
・「リクエストを送信する前に、なぜオプトアウトすべきではないのかという理由を聞くこと」をユーザーに強制すること
・オプトアウトのリクエストを送る方法が、ウェブページやドキュメントに記載されたプライバシーポリシーについての長い文章をスクロールしなければ見つからないようにすること
CCPAに準拠していないことが判明した企業には、サービスを修正するための30日間の猶予が与えられ、従わなかった場合は「司法長官が提訴する訴訟において、不公正な競争に関する法律に基づいて民事罰を受ける」とのこと。
今回制定された法律はダークパターンを限定的に取り締まるものですが、2019年には「10億人以上のユーザーを持つ企業がユーザーの個人情報の扱いに関してダークパターンを使用すること」を禁じる法案が提出されました。ただし、この法案は議会での決議には至っていないとのことです。
なお、近年はAmazonプライムのように「一度加入すると退会が困難」という形のダークパターンも問題視されており、消費者団体がAmazonを提訴する事態に発展しています。
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