ネットサービスを提供したり、オンラインショッピングサイトを運営したりと、ウェブサイトにはさまざまな形がありますが、「ユーザーに達してもらいたい目的」を持っていることは共通しています。目的の達成率、つまりコンバージョン率を上げるにはウェブサイトのデザインや構成といったユーザーエクスペリエンス(UX)が重要。しかし、知らず知らずのうちにUXでミスを犯してコンバージョン率を下げていることがあるとして、SyneriseのプロダクトマーケティングマネージャーであるKarolina Rowecka氏が「コンバージョン率を台無しにする10個のUXミス」を解説しています。
Don’t Ruin Your Conversion Rate with These 10 UX Mistakes | by Karolina Rowecka | Synerise | Medium
https://medium.com/synerise/dont-ruin-your-conversion-rate-with-these-10-ux-mistakes-42c29f677d9
ウェブサイトを訪れた人が、ウェブサイト上のサービスや製品について「時間をかけて知る価値がある」と納得するまでの時間はほんの数秒です。この数秒間でウェブサイトは「いい第一印象」を作る必要があるとのこと。
いい第一印象を作る上で理解すべきことは、まず、人の目の動きです。「人がまず目をやる場所」に重要な要素・インパクトのある要素を配置することで、人の興味や関心をかき立てることが可能。
どのように人の目線が動くのかは、以下の記事から読むことができます。
高齢化に伴い、世界人口における視覚障害者の数は2050年までに3倍になるといわれています。視覚障害といった身体障害を持つ人がアクセスしやすいサイト作りは難しいものではなく、ほんの少しの労力で会社に大きな利益をもたらすことが可能とRowecka氏は述べています。
「低コントラストのウェブデザイン」「小さなフォント」「わかりにくいレイアウト」「不明瞭なメッセージ」などは視覚障害を持つ人に不親切です。しかし、これらは障害のない人にとっても分かりづらいものなので、デザインを改善することで全ての人にとっての「分かりやすさ」が増します。
「誰にとっても明瞭なウェブサイト」を作るためには、以下の点が推奨されています。
・ウェブサイトを訪れた人がフォントサイズや色のコントラストを設定可能であること
・写真やムービーに代替テキスト(alt属性)を設定すること
◆03:間違った単語を使用している
ブランドはより多くの情報をウェブサイトに盛り込もうとしますが、説明が過剰だったり、専門用語が多すぎると、基本的な情報すらユーザーに伝わりません。
例えば、クライアントと食事する場合、最初から混みいったビジネスの話はしないはず。まずは軽い話題から始めて、相手のニーズや知識レベルに合わせてコンテンツの量や語彙(ごい)を調整していくのがよいとされています。
UXの観点から見ても、最初の方で重要なのは「情報量を盛り込むこと」ではなく、「会話を殺さないこと」です。より端的に、明瞭に情報を示すことで、ユーザーとの関係を築くことが重要になります。
◆04:パンくずリストを忘れる
パンくずリストとは、ウェブサイトでのウェブページの位置をツリー構造を持ったリンクで示すもの。パンくずリストを使うとウェブサイトやアプリがシンプルかつ直感的になります。
例えば多くのオンラインショッピングサイトでは、「Men>Shirts>Casual」というように、自分が見ている製品がどのような絞り込みをへているのかが可視化されます。このパンくずリストによって、絞り込みを容易に変更し、求める製品にアクセスしやすくしています。

正しいパンくずリストはユーザーの直帰率を下げることが可能。またSEOの観点からいうと、パンくずリストはウェブサイトの内部リンクを改善してサイトリンクの構造を強化することにも役立ちます。
◆05:次に何をすべきかを顧客に考えさせる
「次に何をクリックすべきか」を顧客が考えなければならないウェブサイトは最悪のもの。優れたUXは、色・サイズ・コントラスト・位置などからウェブサイトのどの要素が重要であるかを顧客に伝えます。そして顧客を自然とナビゲートすることが可能です。
選択の余地がない時、人は不満を感じますが、一方で選択肢が多すぎても満足度が下がります。このため選択肢の数を絞り込む必要があります。ウェブサイトで何を強調すればいいのかがわからない場合は分析ツールを使って訪問者がウェブサイトをどのように移動しているかを確認するのも1つの方法です。
分析の中でユーザーの意志決定時間が長いことが示された時には、顧客が迅速に意志決定を行えるようUXを変更することがベター。例えば、一度カートに入れた製品を放棄してユーザーが購入ページに戻ってきた場合、ユーザーの心理は「他の商品が欲しい」と仮定できます。この場合、多数の購入ページ間を再び移動させるのではく、ユーザーが欲しいと考えられる商品を動的コンテンツとして表示すれば、「少ない情報」で「迅速な意志決定」を促せます。
◆06:CTAが明確ではない、または多すぎる
CTAは「Call To Action」の略で、「ユーザーに行動を起こさせるウェブサイトの要素」を意味します。

CTAは「視覚的に目立つこと」と「正しい順序で表示させること」が大切です。この2点を守るCTAはユーザーを悩ませることなく、スムーズに目的とする行動に導きます。特にボタンの色は重要で、鮮やかな明るい色は「クリックすると何かが起こる」ということを直感的に伝えることが可能。また赤は否定、緑は肯定、黄色は警告といったように、色によって伝える意味合いが異なることについても注意すべき。
一方で、ボタンが多すぎるとユーザーはどのボタンを押していいかわからず、結果として「何もクリックしない」という状態で終わります。ページ上で目立たせたいものを決め、ボタンを1つに制限することが推奨されています。
また、多くのウェブサイトで、ニュースレターの登録後にユーザーへのフィードバックが忘れ去られています。「登録してくれてありがとうございます」というメッセージの表示を忘れるべきではないとRowecka氏は述べました
◆07:質問しすぎ
フォームに入力することが好きなユーザーはめったにいません。「フォームへの入力」はユーザーが最も面倒に感じることの1つなので、アンケートなどを実施する場合は、割り引きコードといった特典をつけることが推奨されています。
またフォームでユーザーに何かを尋ねる場合には、以下の点に注意。
・オートコンプリート機能で簡単に入力を終えられること
・自動保存機能
・できるだけ質問を少なく
・ユーザーがクリックして展開する必要がない方法で表示する
◆08:簡単に保存できるものを保存しない
たとえばウェブサイトで航空券を購入する際に、購入フォームが4つのステップで構成されているとします。4ステップ目を終えた時に2つ目のステップに間違いがあったことに気付き、ステップを戻って情報を入れ直してから次のステップに進むと、入力したものが全て消えていることがあります。このようなフォームはユーザーをいらだたせ、目的達成を阻みます。
上記のような状況を回避するために、以下2点に注意すべきとのこと。
・全てのフォームでオートコンプリートを有効にする
・ユーザーが単純な間違いに気付けるように、入力情報が形式に合致しているかを確認できるツールを使用する。
◆09:最も重要なことから目をそらしている

ユーザーがウェブサイトで欲しいものを選び、カートに追加し、購入を完了させるまでの道筋で、ユーザーの意識をそらすものが多すぎると、長期的なコンバージョンに影響します。これはバナー広告やポップアップといった一般的な「邪魔になるもの」だけでなく、時には「ユーザーが得するもの」についても言えます。
例えば「プレミア製品」を購入したユーザーが購入ボタンを押す直前になって「プレミア製品には10%のクーポンがつきます」という表示を目にしたとします。このユーザーは「まだクーポンをもらってない」と考え、ページを戻ってクーポンを探しだすはず。この段階で、既に購入直前だったユーザーの行動がねじ曲げられることになります。
ウェブサイトの不要な要素はできるだけ取り除き、ユーザーが購入に近づけば近づくほど、ユーザーの前に表示される選択肢が少なくなるようにUXを設計します。
◆10:十分なテストが行われていない
優れたUXのページは似たような見た目になることが多々あります。しかし、競合他社のウェブサイトで有効なことが、自分のウェブサイトで有効ではないこともあり得ます。ウェブサイトのユーザーのニーズや好みは常に変化するため、その変化をリアルタイムで把握することが重要とのことです。
このため、定期的にA/Bテストでヘッダー・グラフィック・ムービー・フォーム・CTAなどについて調査するようにすること。製品ページの見た目や注文処理のプロセスなど、ウェブサイトのさまざまな要素のうち、「チェックする点」「チェックするタイミング」を決めてA/Bテストを実施することが推奨されています。
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