金融系スタートアップがヨーロッパでかつてないほどの資金調達に成功している

2021年第1四半期は、世界的なベンチャー企業に対する投資が史上最高額を記録しました。新たな報告によると、2021年は特にヨーロッパにおける金融系スタートアップの成長が目覚ましく、ユニコーン企業の資金調達額・資金調達件数ともにここ数年で最高値を記録しています。

A Record Number Of Startups Join Europe’s Fintech Unicorn Herd – Crunchbase News
https://news.crunchbase.com/news/europe-fintech-unicorn-startups/

評価額が10億ドル(約1100億円)以上の未上場のスタートアップはユニコーン企業と呼ばれ、ユニコーン企業のうち特に評価額が100億ドル(約1兆1000億円)を突破している企業はデカコーン企業と呼ばれます。

世界最大のベンチャーデータベースであるCrunchbaseのデータによると、2021年はヨーロッパにおけるフィンテック分野のユニコーン企業・デカコーン企業がかつてないほどに増加しているとのこと。具体的にいうと、2021年初頭にフィンテック分野においてデカコーン企業に分類されたのはオンライン金融サービスを提供する「Klarna」のみだったのですが、その後、「Revolut」と「Checkout」もデカコーン企業に。加えて、新たに19のフィンテック企業がユニコーン企業になったとCrunchbaseは報告しています。なお、フィンテック分野を超えて全ての分野でユニコーン企業が記録的な増加をみせており、記事作成時点でヨーロッパに本社を置くユニコーン企業は全部で125社。うち3分の1近くが金融サービスを提供しています。

ヨーロッパにおけるフィンテック分野のユニコーン企業をリスト化すると以下のような感じ。評価額が多い順に並んでおり、トップはKlarnaの445億ドル(約4兆9000億円)。Klarnaは2021年3月初頭に310億ドル(約3兆4000億円)と評価され、その後3カ月足らずで評価額を100億ドル以上伸ばしました。同社は2022年の上場を検討しているとのことです。

ヨーロッパのユニコーン企業はこれまでに226億ドル(約2兆4800億円)を調達しており、全企業の価値を合計すると1780億ドル(約20兆円)に達するとのこと。226億ドルのうち115億ドル(約1兆2600億円)は2021年中の調達額となっています。

2021年に初めてユニコーン企業となったフィンテックのスタートアップ19社の中には、モバイル証券アプリを提供するドイツの「Trade Republic」、イギリスに拠点を置くチャレンジャーバンクの「Starling Bank」、フランスのデジタル医療保険スタートアップ「Alan」、企業の支出を一括管理するサービスを提供するデンマークの「Pleo」などが含まれます。

ヨーロッパに本社を置くユニコーン企業が1年間に調達した合計額の推移は以下の通り。2021年は調達件数も調達額も過去9年で最高となっています。

ヨーロッパのフィンテック分野におけるユニコーンに投資しているのは、Index VenturesSeedcampAccelなどが中心。以下が各ベンチャーキャピタルの投資数で、緑がシード段階、水色がアーリーステージのベンチャー、青がレイトステージのベンチャーに対する投資です。

なお、アメリカに本社を置くフィンテックのユニコーン企業は約100社で、うち5社がデカコーン企業にあたります。アメリカと比較すると規模が限られますが、ヨーロッパでは既に800社以上のフィンテック企業が出資を受けており、2021年における資金調達額合計は217億ドル(約2兆3800万円)に達しました。このうち200社以上が1000万ドル(約1億1000万円)以上を調達しているため、フィンテックスタートアップの成長が今後すぐに減速する可能性は小さいと見られています。

以下の広告媒体資料のパスワードを入手するにはここをクリック


分かりづらい広告・アドテク・マーケティング用語の解説ページはここから