PETsはFacebookが開発した新しい広告技術で、「PETs(Privacy-Enhancing Technologies/プライバシー拡張技術)」の略となっています。
What Are Privacy-Enhancing Technologies (PETs) and How Will They Apply to Ads? – About Facebook
https://about.fb.com/news/2021/08/privacy-enhancing-technologies-and-ads/
Appleが広告識別子・IDFAの利用をユーザーの許可制にし、GoogleがChromeにおけるサードパーティーCookieの使用廃止を発表したように、個々人のユーザーデータを利用して興味・関心が高いと考えられる広告を表示するターゲティング広告への風当たりは強まっています。
ターゲティング広告において問題となるのは「個人情報を利用することからプライバシーを侵害する」ケース。そこでFacebookは、個人情報を保護しながらターゲティングを可能にする仕組みとして、PETsを開発しました。
PETsは「マルチパーティ・コンピューテーション(MPC)」「オンデバイス学習」「差分プライバシー」という3つの柱によって構成されます。
◆マルチパーティ・コンピューテーション(MPC)
これまでの広告の仕組みでは、広告主はユーザーのニーズを分析するために、暗号化したユーザーデータをプラットフォームやパブリッシャー、サードパーティーに送信していましたが、このときデータを受け取った企業は復号を行い、ユーザーに関する情報を見ることができました。一方MPCは、企業がデータやりとりする時にデータを暗号化するところまでは同じですが、その後、データを受け取った企業によって復号されることはありません。それぞれの組織がお互いのデータセットを公開することなく、広告を掲載した場合の効果だけを測定できるようになっています。
◆オンデバイス学習
オンデバイス学習は連合学習とも呼ばれ、Googleの新しい広告システム「FLoC」でも利用されています。一般的に機械学習はデータを1箇所に集約し、そのデータを学習に利用します。このため、既存の広告システムではユーザーの端末データがクラウドなどに送信される必要があり、プライバシーの観点から問題視されていました。一方で連合学習はデータの集約を必要とせず、個々のデバイス上で機械学習を実行し、データがデバイス外に持ち出されないため、プライバシー侵害の心配がないわけです。
◆差分プライバシー
差分プライバシーは、集約されたデータの中から個人を再特定されることを防ぐプライバシー技術。既存の広告技術に関しては、「たとえデータが匿名で収集されたとしても、リバースエンジニアリングで集約データから個人を特定することが可能だ」という指摘があります。そこで差分プライバシーでは、データにノイズを加えることで、データのパターンを無効化し、リバースエンジニアリングできなくするとのこと。具体例をいうと、例えばある広告を118人がクリックした時に、差分プライバシーは「118」という数字の代わりに「120」あるいは「114」という数字を出力することで、正確な数値を隠します。このような「ノイズ」によって、「広告をクリックして商品を購入したのが誰か」という特定を難しくするとのことです。
FLoCとは何ですか? | GIGAZINE.BIZ

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