Unified IDは、DSP企業であるTradeDeskが提案している、Cookieに代わる新しい広告識別子を意味します。
これまでターゲティング広告で利用されてきたサードパーティーCookieはプライバシーの観点から規制される方向にあり、すでにSafariやFirefoxでブロックされているほか、Chromeも2022年までにサポートを廃止する予定です。
Cookieはターゲティング広告で中心的な役割を果たしているため、これが使えないとなるとデジタル広告の効率が下がり、パブリッシャーや広告主などの収益が減少すると懸念されています。このため、デジタル広告を運用する企業は、Cookieを使わない新しい広告運用方法を構築しようとしています。
Googleの場合は、プライバシーサンドボックスという提案の中で、新たな仕組みを考案・テスト中です。
Googleはどのような「Cookieなしの広告システム」を作ろうとしているのか? | GIGAZINE.BIZ
そしてGoogleとは別に、TradeDeskは2020年にCookieの代替となる識別子Unified ID 1.0を、自社システムの中で運用することを発表しました。
Unified IDは、Cookieの代わりに「ユーザーの暗号化されたメールアドレス」を使用します。ユーザーがメールアドレスを使ってログインを行うと、暗号化されたメールアドレスを元に識別子が作成されます。識別子が作成される時には容易な言葉でその旨がユーザーに示されるため、ユーザーはデータの共有方法などについて設定可能。また、識別子はセキュリティ向上のため定期的に再作成される仕組みとなっています。
その後、TradeDeskはTradeDeskユーザー以外でもUnified IDを使えるように、プロジェクトをオープンソース化した「Unified ID 2.0」を発表。GitHub上でソースコードを公開しています。
The Trade Desk · GitHub
https://github.com/thetradedesk
オープンソース化することで、Unified ID 2.0に多くの企業が賛同。Index Exchange、Magnite、PubMatic、OpenXといった広告プラットフォームがUnified ID 2.0を利用する予定であり、これら企業によるネットワークでは、Unified ID 2.0がウェブサイトやプラットフォームを横断する識別子として機能すると考えられています。
なお、2021年2月23日にTrade DeskはUnified ID 2.0をヘッダービッディングソリューションのPrebidに引き渡したことを発表しました。これは「Trade Deskは自社の競争優位性をUnified ID 2.0の運用で利用するのではないか」と懸念されていたためで、プロジェクトをPrebidに渡したことにより、中立な観点で運用が監視されることを目的としています。
Unified ID 2.0がどのように機能するのかという詳細は、以下の記事から読むことができます。Unified ID 2.0が動作する仕組みを図解するとこうなる | GIGAZINE.BIZ

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