AT&Tが広告部門のXandrを約1100億円でインド企業に売却検討中

情報通信・メディアコングロマリットのAT&Tが、モバイル広告ネットワークを運営するインドのInMobiに、広告部門「Xandr」の売却を検討中だと判明しました。売却価格は10億ドル(約1100億円)に上ると見積もられています。

Report: AT&T hoping to sell Xandr advertising technology business for $1B – SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2021/07/20/report-att-hoping-sell-xandr-advertising-technology-business-1b/

AT&T scrambles to sell ad tech unit Xandr after months of mismanagement – Axios
https://www.axios.com/att-advertising-xandr-inmobi-42a4f6bd-4c09-4416-aedb-89e216c1b6bd.html

AT&Tは2018年にXandrの前身となる広告取引所「AppNexus」を16億ドル(約1800億円)で買収。その後、AT&Tはテレビ広告技術会社であるClypdを買収し、AppNexusと合わせる形でXandrを設立しました。

Xandrは広告主やブランドが放送局からテレビの広告枠ヘッダービディングで入札でき、かつ広告キャンペーンの効果を測定可能なソフトウェアを販売しています。デジタル広告における入札と同様に、Xandrでは複数のマーケットプレイスにわたる広告枠の一覧から入札を行うため、単一のマーケットプレイスを使用する時に比べて広告価格を最適化できます。当時のCEOだったRandall Stephenson氏は「テレビの広告枠の売買を自動化する」ためにXandrを設立しましたが、記事作成時点でXandrは収益化に成功していないとのことです。

関係者筋の情報によると、Xandrは年間3億ドルから3億8000万ドル(約330~420億円)の収益を生み出し、5000万ドルから9000万ドル(約55~100億円)の損失を計上します。XandrのCBOだったKirk McDonald氏が退任した後、XandrはAT&Tによって「無視され、誤った方法で管理されてきた」といわれており、技術的には優れていたもののビジネスが失敗に終わったとみなされています。

Xandrは広告の売り手と買い手の両方のためのプラットフォームですが、記事作成時点ではAT&Tが所有するワーナーメディアディレクTVといった売り手側からの収益に依存しています。ワーナーメディアやディレクTVはAT&Tからスピンオフされる予定であり、今後は収益化を望めないことからXandrの売却が計画されているという流れです。

GoogleがサードパーティーCookieをChromeで廃止し、新たな広告の仕組みを構築すると発表してからというもの、広告のエコシステムは急速に変化しています。広告企業の買収も増加しており、Xandrの売却もこの中の1つとして、InMobiの拡大を促進するものとなりうるとのこと。約1100億円という売却価格はInMobiにとって投げ売り価格ですが、AT&Tにとっても「売却成功」と言える価格となっています。

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