なぜ誰も広告のコンバージョンを詳細に分析できるGoogleの「データドリブンアトリビュージョン」に飛びつかないのか?

Googleは2021年9月に、広告の評価方法を刷新することを発表しました。コンバージョンの直前にクリックされた広告だけでなく、それまでにユーザーが目にした広告の効果も測定できるとする「データドリブンアトリビューション」は、これまでよりも正確な広告測定が可能とのこと。しかし、広告主からはデータドリブンアトリビューションに対して懸念の声が上がっています。

Why some advertisers could be reluctant to get on board with Google’s modeled measurement train
https://digiday.com/media/why-some-advertisers-could-be-reluctant-to-get-on-board-with-googles-modeled-measurement-train/

これまでのGoogleは「ラストクリックアトリビューション」という方法を採用していました。ラストクリックアトリビューションは、コンバージョン経路で最後にクリックされた広告や対応キーワードに貢献度を割り当てるモデルを言います。このモデルはユーザーへの影響度が強い広告を特定することに役立つ一方で、「それ以前にユーザーの目に触れ、影響を与えた広告」が評価されず、広告の正確な効果測定ができないという問題がありました。

そこでGoogleは、ユーザーのコンバージョンに関連する全てのデータを総合的に評価する、「データドリブンアトリビューション」というモデルを構築。データドリブンアトリビューションは高度な機械学習を利用しており、Googleに登録し、かつデータの利用に同意したユーザーのデータを活用して精緻な計算を行っているとのこと。Googleはデータドリブンアトリビューションと広告の自動入札を組み合わせることで、より詳細な効果測定が可能になり、従来の方法よりも費用対効果が上がると説明しています。計画通りに行けば、Googleは2022年までに全てのGoogle広告のアカウントにデータドリブンアトリビューションを導入予定とのこと。

データドリブンアトリビューションの詳細は、以下から読むことが可能です。

ただし、データドリブンアトリビューションには懸念点も存在します。まず、新しい測定方法であるがゆえにマーケティングの結果が流動的になることが考えられ、マーケティング担当者は上司やクライアントに対して結果の説明が困難になると予想されています。このため、一気にデータドリブンアトリビューションに移行するのではなく、小規模なテストによってモデルの傾向を理解する必要があるとのこと。

また、Cookieの規制Appleのデータプライバシー管理によってユーザー追跡が制限されつつある中で、Googleはログインユーザーを超えて、より多くのデータを広告主から取得するためにデータドリブンアトリビューションを利用しているという指摘も。これは、Googleが「より多くの観察可能なデータがあることで、モデルの品質が向上します」と述べ、広告主に「観察可能なデータ」提供への協力を促していることからも読み取れます。

データドリブンアトリビューションとは別に、Googleはターゲティング広告を実施したい広告主に向けてサーバーサイド・コンバージョン追跡という方法を推奨しています。これは広告主に詳細なユーザー追跡方法を提供するものですが、その利用には、広告主側からGoogleへのメールアドレス・名前・住所・電話番号といった個人情報の送信を伴います。サーバーサイド・コンバージョン追跡の推奨からも、Googleがより多くのデータを集めようとしている姿勢が見てとれます。

なお、Googleの広報担当者はサーバーサイド・コンバージョン追跡でのデータ収集について、「取得したデータは、同意を元にユーザーから広告主に提供されたものであり、弊社の『プライバシー中心的な測定方法』に則したものです」と述べています。

上記のようなGoogleの提供ツールは、十分な顧客データを収集できない小規模ビジネスの顧客に「シンプルな測定法」を提供し、非常に有用といえます。しかし、シンプルな測定法を実現するにはGoogleのアルゴリズムに大量のデータを与える必要があるのも事実。プライバシーの観点から言えば、

これらのツールは「時代に逆行している」とも指摘されています。

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