「サーバーサイド・コンバージョン追跡」とは何なのか?

近年はCookieが規制されたり、Appleが広告のためのユーザー追跡を制限したりで、これまでターゲティング広告に利用されてきた仕組みが使えなくなっています。このため新たなターゲティング広告の仕組みをGoogleをはじめとするさまざまなアドテク企業が開発中ですが、依然としてCookieに匹敵する仕組みは誰も構築できていません。そんななか「広告の追跡を行いたい」という広告主の声に対し、GoogleやFacebookはサーバーサイドでの広告追跡を推奨しています。

What is server-side conversion tracking?
https://digiday.com/marketing/wtf-is-server-side-conversion-tracking/

たとえば、Googleはサーバーサイド・タグ・マネージャーを2020年8月に公開。以下のページでは、「サーバーサイド・タグ・マネージャーを使用すると、Google広告のコンバージョン・トラッキング・タグをウェブページからサーバーに移動できます」と説明しています。

Google 広告コンバージョン  |  Google タグ マネージャー – サーバー側  |  Google Developers
https://developers.google.com/tag-manager/serverside/ads-setup

また、FacebookはコンバージョンAPIと呼ばれるツールを提供しています。

コンバージョンAPIについて | Facebook Businessヘルプセンター
https://www.facebook.com/business/help/2041148702652965

サーバーサイドでの広告追跡を利用すると、広告主や販売業者のウェブサイトをホストするサーバーが、GoogleやFacebookといったアドテクサーバーに直接接続されます。これにより、広告主のサーバーからアドテクサーバーに「誰かが製品ページをクリックした」「商品が購入された」といった情報が送られ、今日の追跡に利用されるCookieやトラッキング・ピクセルと同様に、広告表示によりコンバージョンに至ったかどうかが判別できるとのこと。

サーバーサイドの広告追跡は、Cookieを使った追跡手法と同じことを実現しますが、「ブラウザをバイパスする」という特徴を持ちます。つまり、Cookieを使った追跡はブラウザが情報を保存することにより成立していたため、ブラウザがCookieをブロックすると機能しなくなります。一方でサーバーサイドの広告追跡はブラウザを介さず広告主サーバーとアドテクサーバーを直接接続するので、Cookieがブロックされても広告追跡が可能になります。

GoogleとFacebookが提供するサーバーサイドの広告追跡ツールは、測定される内容が異なるとのこと。GoogleのツールはGoogle広告・Facebook広告・DSP経由で購入された広告・Shopfyなどのeコマース上の広告など、あらゆる種類の広告購入について、「広告表示からどのようにコンバージョンに至ったか」を追跡します。一方でFacebookのコンバージョンAPIはFacebookのネットワークで購入された広告についてのみ追跡を行います。

もちろん、アドテク企業が広告追跡を行うには、広告表示とコンバージョンを一致させるデータが必要です。このため、サーバーサイドの広告追跡ツールを利用するには、アドテク企業であるGoogleやFacebookに対して、広告主はユーザーのメールアドレス・電話番号・IPアドレスといったデータポイントを提供する必要があります。GoogleやFacebookは利用者が多いため、「プラットフォームにログインした人」と「広告主から送られてきたユーザー情報」を一致させることが可能。これによって広告表示がどのようにコンバージョンに結び付いたのかを追跡するわけです。

「オフラインのユーザー情報をアップロードして広告パフォーマンス測定に利用する」というオーディエンスマッチはこれまでも行われてきましたが、サーバーサイドの広告追跡は、オーディエンスマッチを「サーバー同士を接続する」という方法で実現するものと言えます。

広告主は自社サイトのサーバーからGoogleやFacebookのサーバーに対して情報を送信することになりますが、このとき、どんな情報を送信するかは広告主側で細かく制御可能とのこと。とはいってもブランド側は機密であるユーザー情報を外部のサーバーに送ることになるため、ユーザーのプライバシーが問題となります。GoogleやFacebookは情報が暗号化されることを強調していますが、基本的に広告主は利用規約に「個人情報がマーケティングパートナーと共有される」という条項を記載することによって、サーバーサイドの広告追跡を利用しているとのこと。

ただし、GDPRはユーザー情報の利用に同意要件を課しているため、ヨーロッパにおけるサーバーサイドの広告追跡の障害になっているそうです。また、サーバーサイドの広告追跡を利用しても、Appleのトラッキング制限によって追えなくなったコンバージョンを追うことはできない点にも注意が必要です。

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