Amazonの検索結果は「ユーザーをだます広告」で溢れているという批判

Amazonが検索結果に大量の「スポンサー付き商品」、つまり広告商品を表示しているということはかねてより問題視されてきました。連邦取引委員会(FTC)に提出された新たな苦情では、13万件のAmazon検索結果を分析した結果から、「Amazonは『スポンサー付き』というラベルを明確にせず、顧客が知らないうちに広告をクリックするよう違法にだましている」ことが強く批判されています。

SOC Complaint to the FTC Against Amazon, Inc. for Unlawful Deception Under Section 5 of the Federal Trade Commission Act, 15 U.S.C. 45 (a) – Strategic Organizing Center
https://thesoc.org/what-we-do/soc-complaint-to-the-ftc-against-amazon-inc-for-unlawful-deception-under-section-5-of-the-federal-trade-commission-act-15-u-s-c-45-a/

Amazon search results are full of ads ‘unlawfully deceiving’ millions of consumers, FTC complaint says – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2021/12/08/amazon-search-results-ftc-complaint/

労働組合の提携団体であるStrategicOrganizing Center(戦略組織センター/SOC)がFTCに提出した新たな苦情は、「Amazonの検索結果は4分の1が有料広告にもかかわらず、Amazonはスポンサー付きの検索結果に対して明確なラベルを付けておらず、顧客が知らないうちに広告をクリックするよう違法にだましている」と主張するもの。この主張はAmazonの検索結果13万件を分析した結果に基づいています。

またSOCによると、Amazonはスポンサー付きのラベルの表示を故意に遅らせているとのこと。連邦のガイドラインでは「オーガニックの検索結果」と「広告」を明確に分ける必要があると定められているため、Amazonの慣習は「実質的・全体的にコンプライアンスに反している」とSOCの研究者は主張しています。SOCの法務ディレクターであるMarka Peterson氏は「AmazonのカスタマーはAmazonで検索した時に、それが広告であるのかオーガニックな検索結果なのか、注意深く調べる必要があります。またカスタマーはAmazonが広告を隠すために使用する手法について知っておく必要があります」と述べました。

一方でAmazonの広報担当者であるTina Pelkey氏は、上記の主張について「FTCのガイドラインについて誤って表記しています」とし、Amazonは明確かつ目立つ、FTCのガイドラインに沿った「スポンサー付き」のラベルを実装していると主張しています。

FTCが大手テクノロジー企業に対し、「広告とオーガニックの検索結果を区別できるようにすべき」と指示するガイダンスを発表したのは2002年のこと。その後、2013年に当局はガイドラインを更新し、表示のために「目立つ境界線」「影付きのボックス」「明確なテキストラベル」などを使用するよう指示しました。しかし、研究者は、分析した数千のAmazon広告が「影付きのボックスを使う」というFTCのガイドラインに準拠していないことを発見。オーガニックの検索結果も広告も同じ灰色のボックスで表示されていたため、判別がつかなかったとのことです。

また、分析対象となった広告の22%で、広告であることを示す「スポンサー付き」というラベルが「高評価」「今日の取引」といった大きく太い文字の下に、小さく細いフォントで書かれていたと研究者は述べています。Amazonはこのような表示により、本当は広告である商品を広告ではないように見せ、「誤解を生むショッピング体験」を生み出しているとのこと。

Amazonの収益の多くはeコマース事業によるものですが、近年は広告事業が大きく成長をみせています。Amazonで製品を販売するためにSEOが重要であることは多くの人が知るところですが、Amazonの広告事業が強化されることでページ上部など「ユーザーがクリックしやすい場所」は有料の広告で埋め尽くされる結果に。広告なしで検索トップに表示されることは困難になっていると指摘されています。また、上記のとおりAmazon広告自体に対する反感も高まっていることから、より多くの人に製品について知ってもらい、製品ページへの流入を増やすには、既存のSEOやディスプレイ広告を超えた対策を検討すべき段階に入っているとみられています。

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