Web3とは一体何か、そして広告やマーケティングに及ぼす影響は?

新しいインターネットの概念である「Web3」という言葉を耳にすることも増えてきましたが、実際にそれがどうインターネットを変えていくのかを理解するのは難しいもの。デジタルマーケティングメディアのDigidayが、Web3とは何か、Web3によってマーケティングや広告はどのような影響を受けるのかを解説しています。

WTF is Web3?
https://digiday.com/media/wtf-is-web3/

◆Web3とは一体何か?
Web3は「Web 3.0」とも表記されるインターネットの概念で、仮想通貨・イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッド氏によって作られました。具体的なビジョンはさまざまですが、暗号通貨非代替性トークン(NFT)といったブロックチェーン技術を根幹としています。

Web3は、それ以前のWeb 2.0という概念に対するアンチテーゼとして提唱されたという側面を持ちます。

Web 2.0はフリーソフトウェアとオープンソース運動の支援者であるティム・オライリー氏によって2005年に提唱されました。それまでのインターネットは情報の「送り手」と「受け手」が固定され、一方向の流れしかありませんでしたが、2000年代中頃からは送り手と受け手が流動化して誰もが自由に情報発信できるようになりました。このような変化を受け、旧来の一方向性のウェブがWeb 1.0、双方向性になったウェブがWeb 2.0と定義されたわけです。

Web 2.0は2000年代中頃から現代まで続いていますが、「ウェブ上のコンテンツがGoogle・Apple・Facebookといったごく一部の大企業に集中していること」「これら企業がユーザーの個人データを使って収益化していること」が問題として指摘されています。Web3はインターネットを中央集権型ではなく分散型にすることで、これらの問題を解決するといわれています。

◆Web3で実現されるインターネットの姿
Web3で実現されることの一例は以下の通り。

・ユーザー自身が自分の個人情報とオンラインプレゼンスを所有する
・ユーザーの個人情報はアクセスするウェブサイトやプラットフォームと共有される
・ユーザーは自分の個人情報を自分の意向に沿って収益化できる

例えばWeb3が実現した世界では、ユーザーがあるウェブサイトを訪れると、ブラウザと紐づいた仮想通貨のウォレットによって自動的にログインが実行されます。この時、広告業者はユーザーの個人情報を取得しますが、ユーザーは個人情報を渡した見返りとして仮想通貨によるマイクロペイメントを受けます。もちろん、個人情報の共有はユーザーが事前に理解・同意して行われるもの。

NFTマーケットプレイス「Art Blocks」のCEOであるErick Calderon氏は、「Web3において、アクセスにおけるあなたの資格情報はユーザー名とパスワードではなく暗号的な証明になります」と述べ、さまざまなウェブサイトやプラットフォームで共通する「証明」を使うことになる可能性を示しています。

Web3には必ずしも新しいテクノロジーが必要というわけではなく、既存のブラウザでWeb3ベースのウェブサイトにアクセスすることも考えられるとのこと。またWeb3のウェブサイトがブロックチェーンのソフトウェアを使って作成されていても、Web 2.0のウェブサイトと同様にアクセス可能。加えて、Facebookの親会社であるMetaなどが構築中のメタバースプラットフォームからもアクセスできると考えられています。

◆Web 1.0、Web 2.0、Web3はどう変化してきたのか?
時代の流れと共にインターネットはWeb 1.0、Web 2.0、Web3と変化していきますが、Web3はWeb 2.0よりもWeb 1.0に根付く概念と言えるとのこと。Web 1.0の時代ではWikipediaを始めとする「静的なウェブページ」が数多く登場することで、「全ての人が公平に情報を利用できる」環境が実現されました。しかし、Web 2.0は「オープンソースの時代」と言われたにも関わらず、企業が「情報をオープンにし、広告モデルでそれを収益化する」という方法をとったために結果的には「クローズドなプラットフォームの時代」になりました。この流れを修正し、ある意味でWeb 1.0への回帰を果たそうとしているのがWeb3とのことです。

Web 1.0には「支払い」に関する機能がなかったため、インターネットユーザーはオンラインでの情報公開に対して直接支払いを受けることができませんでした。このため、パブリッシャー・広告主・小売業者といったプレイヤーだけがさまざまな方法で収益化を試みるようになったとのこと。支払い機能が実装されたWeb3ではインターネットユーザーがウェブサイトへの貢献やコンテンツの利用、商品購入、広告表示などについて対価を受け取れるようになることが大きな変化です。

◆Web3はマーケティングにどのような影響を及ぼすのか?
現代のユーザーはインターネット上のコンテンツに対し「いいねを押す」「情報を友人とシェアする」といった行動をとっても、ほとんど見返りはありません。一方でWeb3の世界ではこのような「製品との相互作用」に対し、ユーザーはより大きな見返りを期待するようになると考えられています。また、製品作りに対して発言権を持ったり、会社の成長に対して影響を与えることもあり得ます。

さらに、現代のインターネットでは広告が中心的なビジネスとなっていますが、Web3では広告は収益化の中心とはならないと考えられています。とは言ってもある程度の範囲において広告モデルも有効になる見込み。加えて2022年時点では、個人情報の取得やサービス加入において詐欺まがいのダークパターンが横行していますが、これらの手法は通じなくなり、よりユーザーがコントロール力を持つと考えられています。

ただし、インターネットがどんなに変化しても、「優れた製品を作る人と企業」と「優れた製品を求める消費者」は存在しつづけます。両者をマッチさせるのは「説得力のあるコンテンツ」であり、そのためには「プロの技術」が必要になります。

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