デジタル広告への支出は2020年に12%増加、Amazonが怒涛の勢いで成長中

by Ivan Radic

企業の広告費は景気に大きく左右されるため、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行した影響で広告費が縮小すると予測されました。しかし、実際にはそんな中でもアメリカにおけるデジタル広告に対する出費は過去最大となったことが判明。Google・Facebook・Amazonという広告大手が市場の独占をさらに強めたほか、これまで以上にAmazonが躍進していることもわかりました。

2020/2021 IAB Internet Advertising Revenue Report
https://www.iab.com/insights/internet-advertising-revenue-report/

Amazon’s share of the US digital ad market surpassed 10% in 2020 – Insider Intelligence Trends, Forecasts & Statistics
https://www.emarketer.com/content/amazon-s-share-of-us-digital-ad-market-surpassed-10-2020

Digital ad spend grew 12% in 2020 despite hit from pandemic
https://www.cnbc.com/2021/04/07/digital-ad-spend-grew-12percent-in-2020-despite-hit-from-pandemic.html

Amazon Surpasses 10% of U.S. Digital Ad Market Share – WSJ
https://www.wsj.com/articles/amazon-surpasses-10-of-u-s-digital-ad-market-share-11617703200

オンライン広告における技術的標準規格の策定や動向調査を行うIAB(Interactive Advertising Bureau)の調査報告によると、2020年のデジタル広告に対する支出は前年比で12.2%増加したとのこと。2020年の前半はCOVID-19の影響で旅行業界を始めとする多くの企業で売り上げが激減し、広告に対する出費も全体的に低下しましたが、2020年後半にはホリデーシーズンの盛り上がりとアメリカ大統領選の政治広告により、広告への支出が増加。年間で1398億ドル(約15兆円)の支出となりました。

ただし、これらの支出先は、GoogleやFacebookといった一部の大手広告企業に集中する傾向がみられます。IABによると、2020年における広告企業上位10社の広告売上高は合わせて1090億ドル(約11兆円)以上で、全体売上のほとんどを占めています。また2018年には上位10社の売り上げが全体を占める割合は75.9%でしたが、2019年には76.6%、2020年には78.1%となったとのことです。

上位企業の中でも特に成長が大きいのがAmazon。Amazonのデジタル広告市場における2020年のシェアは、2019年の7.8%から増加して10.3%となりました。デジタルマーケティングの市場調査会社であるeMarketerは、アメリカAmazonの2020年度の広告収入が、2019年から52.5%増加した157.3億ドル(約1兆7200億円)に上るとみています。

以下は左が2019年、右が2020年の広告収入の市場シェア。GoogleとFacebookがやはり圧倒的ですが、Amazonもそれに続いて収入を伸ばしています。

eMarketerのレポートによると、Amazonの広告収入の90%はAmazon.comに表示された広告によるものであり、スポンサー製品やブランドの検索広告が収入の大部分を占めるとのこと。またAmazon.comの広告に比べれば額が小さいものの、Fire TVやTwitch、IMDb TVといったサービスでの広告収入も大幅に成長しているそうです。

特に、Amazon.comに関して、2020年は都市封鎖などの影響で需要が増加し、Amazonマーケットプレイスの小売業者を含む、多くの人が在庫不足という問題を抱えました。しかし、これまでランキング上位に表示されていた小売業者が在庫不足になるということは、他の業者にとっては追い上げのチャンスとなります。Amazon.comの広告はこのような背景で多く利用されたとみられています。

2021年、アメリカAmazonの広告ビジネスは30.1%成長し、2020年第4四半期の予測を上回る200億ドル(約2兆2000億円)の収入を記録すると推測されています。また2023年までには収入が300億ドル(約3兆3000億円)に上る見込みだとeMarketerは示しました。

一方で、GoogleはAmazonにシェアを奪われる傾向にあり、2023年までには、2020年時点で28.9%あるシェアが26.6%になるとeMarketerは予測しています。またGoogleはサードパーティーCookieの廃止を受け、新たな広告システムの構築を余儀なくされているという点でも、今後の成長の持続性が疑問視されているとのことです。

以下の広告媒体資料のパスワードを入手するにはここをクリック


分かりづらい広告・アドテク・マーケティング用語の解説ページはここから