2021年はこれまでの広告システムから脱却し、新たな広告の仕組みを構築・利用することへの注目が高まりました。特に注目度が高いのが、「ウェブサイトにどのような人が訪れ、どのような記事を読んでいるのか」というファーストパーティーデータ。このファーストパーティーデータをもとにターゲティングを行う方法が有効だと見られており、2022年はパブリッシャーと広告主の提携が活発化するとみられています。一方で、「ただ単にターゲティングを行うだけでは効果が出ない」という問題点も明らかになっています。
In conversations about 2022 ad deals, first-party data takes center stage
https://digiday.com/media/a-very-very-strategic-moment-in-conversations-about-2022-ad-deals-first-party-data-takes-center-stage-for-more-publishers/
世界的にCookie規制が強まったことを受けてGoogleは「2023年末までにサードパーティーCookieを廃止する」という目標を掲げています。また、AppleもApp Tracking Transparency(ATT)で企業による広告のためのユーザー追跡の規制を強化しています。ATTやChromeのサードパーティーCookie廃止によって既存の広告システムは大きく変化することになるため、新たな広告システムの構築に向けて、アドテク企業・メディア・広告主それぞれが準備を行っています。
広告のターゲティングを行う上で重要になるのが、「広告をどのような人に表示するのか?」を分析するもととなるユーザーデータです。上記のような規制はサードパーティー企業がユーザーデータを集めたり分析したりすることを防ぐ目的を持つため、次の広告システムにおいてはファーストパーティーデータを有する「広告を掲載する側」のパブリッシャーが注目を集めています。
2020年、パブリッシャーは広告業界の変化を受けてオーディエンスについてより多くのファーストパーティーデータを集められるよう準備を進めました。2021年に入ると、これらが実際に「パブリッシャーと企業との提携」という形で市場に投入されるようになり、メディアと広告主が提携し、「セカンドパーティー」としての識別子を共有する方法が模索されているとのこと。企業は企業でユーザーや顧客に関するデータを有しているため、両者が互いのファーストパーティーデータを共有することで、広告ターゲティングの精度を上げていくことが目的とされています。また広告主の中にはパートナーシップを結びデータを同期することで、プライベート広告ネットワークを構築しているところもあるそうです。

このとき問題となるのは、オーディエンスの興味・関心・行動をセグメントに分けて行う「広告ターゲティング」について、業界全体でセグメントを定義する標準的な方法が存在しないこと。このため、オーディエンスのセグメントがどのように構築されているかが、広告主の関心事となっています。既存のデジタル広告では主にGoogleやAppleといった大企業が中心となって広告システムを構築していましたが、ChromeのサードパーティーCookie廃止や、AppleのATTスタートにより、データを扱う技術がより細分化される傾向にあります。パブリッシャーと広告主がデータを同期させる際に、異なる技術を使用していることが理由で同期のコストが高くなることもあるため、パブリッシャーの中にはアドテク技術を扱うパートナー企業を増やす動きを見せているところも。
ただし、いくら適切なターゲットに広告を表示しても、その広告の質が悪ければ効果がでないということは、この数年で多くの企業が気づいてきました。大手メディア代理店の役員である人物は「ソーシャルメディアのマーケティングを通して、『特定のセグメントに絞ってターゲティングを行うだけでは、クリエイティブなメッセージとはならない』と学びました」と述べており、今後は広告の質の高さがより大きな論点となってくるとみられています。質の高い広告とはつまり、「広告に見えない広告」「広告だと知っていても見たくなる・読みたくなる広告」を意味します。なお、パブリッシャーが扱う広告、記事広告の質の高さとは何かについては、以下から詳細を読むことが可能です。
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